細胞を使うことなく受容体膜タンパク質の人工進化に成功
-阻害剤感受性を10倍向上させたGタンパク質共役型受容体
「アデノシン2A受容体」の新規変異体を同定し、細胞種特異的なシグナル制御を実現-
2026年03月31日
研究?産学連携
【ポイント】
○従来は困難だったヒト由来Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の実験室内人工進化を無細胞タンパク質合成系とナノディスク技術の組み合わせで実現
○新規「アデノシンA2A受容体(A2AR)」変異体を同定。哺乳動物細胞内で内因性リガンドであるアデノシンへの応答性を保持しながら、阻害剤感受性を10倍以上に向上
〇新規変異体を用いることで、A2ARシグナルを細胞種選択的に制御できることを実証
〇細胞を用いることなく、GPCR変異体ライブラリーサイズを約1兆(10??)規模に拡大可能に
【概要】
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東京科学大学(Science Tokyo)生命理工学院 生命理工学系の深澤元喜修士課程学生(研究当時)、北尾彰朗教授、同大学 地球生命研究所の松浦友亮教授、福永圭佑特任助教(現:宮崎大学研究?産学地域連携推進機構 テニュアトラック推進室 准教授)、名古屋大学大学院工学研究科 松岡佑真博士後期課程学生、清中茂樹教授、千葉大学 大学院理学研究院 村田武士教授らの研究チームは、細胞を用いずに膜タンパク質を実験室内で人工進化させる技術を開発し、リガンド結合能が10倍程度向上したヒト由来アデノシン「A2A受容体(A2AR)」の変異体を同定しました。この変異体を用いることで細胞種特異的なシグナル伝達系の制御が可能です。 |
【論文情報】
掲載誌:Journal of the American Chemical Society
論文タイトル:In vitro evolution of the adenosine A2A receptor based on an antagonist binding using a ribosome display
著者:Genki Fukasawa, Yuma Matsuoka, Duy Phuoc Tran, Haruka Nishigaki, Keisuke Fukunaga, Takayoshi Watanabe, Tomohiro Doura, Naohiro Terasaka, Ako Kagawa, Takeshi Murata, Akio Kitao,*Shigeki Kiyonaka, Tomoaki Matsuura
DOI:10.1021/jacs.6c02372
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図2:取得した変異体は、細胞種特異的シグナル阻害を可能とする。2つの異なる細胞種を共培養し、アデノシンを加えた場合は、両細胞とも活性化されたが、アデノシンと阻害剤を加えた場合は、変異体発現細胞でのみシグナル阻害が観測された。